特例子会社とは?働いてみて分かった障害者への配慮と働きやすさ

特例子会社 障害者雇用

特例子会社とは?

今回の記事は、障害者雇用の一つの形態、特例子会社について書いていきたいと思います。

私は、現在、特例子会社で仕事をしているわけですが、特例子会社は知的・精神・発達障害者を戦力とみなして企業活動をしているとつくづく感じます。

私が現在働いている特例子会社は、軽度の知的障害のある18歳から23歳までの若い社員と、精神疾患や身体障害のある30~45歳の方が働いていますが、皆さん元気いっぱいです。もちろん、私のように発達障害のある社員もいます。

今回の投稿記事では、特例子会社がどのように知的・精神・発達障害者を戦力とみなして企業活動をしているかを詳しく書いていこうと思います。

特例子会社とは?働いてみて分かった障害者への配慮と働きやすさ

特例子会社とは?

まずは特例子会社とはどのようなものか、概要です。

特例子会社とは、障害のある方の安定的な雇用を図るために設立された会社です。一般企業に比べるとサポート体制が整い、障害のある方への合理的配慮が受けられます。

特例子会社として認定されるには以下の要件を満たす必要があります。

  • 親会社が、特例子会社の意思決定機関を支配している事
  • 親会社から役員派遣があるなど、人間関係が緊密である事
  • 雇用する障害のある方(障害者手帳を持っている方)が5人以上いて、全従業員に占める割合が20%以上であること、また、雇用する障害のある方のうち、重度の身体障害、知的障害、精神障害のある方の占める割合が30%以あること
  • 障害のある方に対する施設改善や専任指導員といった働きやすい職場環境が整備されていること
  • 障害のある方の雇用の促進、安定を達成する見込みがあること

特例子会社は障害のある方が元気いっぱい働いている

私が働いている会社は軽度の知的障害を抱えている方が大部分を占めますが、仕事となると仕事ぶりも普通の人と変わりないですし、皆さん、普通にコミュニケーションが取れるし、私は彼らと仕事をしている時は何の問題もありません。

仕事となるとものすごく集中していますし、物凄く一生懸命仕事に取り組んでいます。

また、発達障害や精神疾患のある方も、それぞれの特性に応じて適正に仕事を配分されて元気いっぱいに働いています。

では、「軽度知的障害」の特徴とはいったいなんでしょうか?

軽度知的障害とは、発達期までに生じた知的機能の障害により、知的発達が実年齢よりも低い知能指数(IQ)50~69の水準にとどまり、適応能力は正常またはやや遅れがある状態を指します。

「軽度知的障害」の特徴

  • 学力や理解力が低い
  • 私の同僚である軽度知的障害の社員たちは、仕事を理解するのに多少時間がかかります。先輩や上司から仕事の指示を受けたとき、すぐには理解できず、何回も聞き直したりします。

  • 言葉の発達が遅い
  • これは、全員ではなく、一部の人なんですが、言葉が明瞭ではなく、何を言っているのか聞き取りづらい場合があります。言葉がたどたどしい人がいます。

  • コミュニケーションがとりづらい
  • 仕事以外の時(休憩中など)は意味もなく一人でニヤニヤ笑っている人がいたり、自分の興味のあるアニメとか、自分の好きな芸能人の話を会話の中で何の脈絡もなく一方的になしかけてきたりして、多少のコミュニケーションの取りづらさを感じる事がありますが.
    また、彼らとの会話に、幼さを感じてしまうことがあります。

  • 幼い印象
  • 話し書けてくる会話の話題が、20歳代前半の年齢にしてはとても幼稚な内容に思えるため、幼稚である印象を持ってしまいます。

知的・精神・発達障害者を戦力として生かす特例子会社

これは個人的な感想ですが、皆さん、素直で、一生懸命に仕事に取り組んでいます。入社5年目になる社員は、仕事において後輩を指導し、強いリーダーシップを発揮しています。一体、どこが知的障害なんだ?・・・と思います。仕事ぶりが普通の人となんら変わりないです。

私が現在働いている特例子会社では、2年前から、採用の対象を知的障害に限らず、うつ病や双極性障害などの精神障害、私のADHD等の発達障害にも対象に広げています。(精神障害者福祉手帳所持者)精神・発達障害の人は、私のように年配者が多く、うちの会社で大多数を占める元気いっぱいの若い軽度知的障害の社員と話しているとなんだか若さと元気を彼らからもらえるような気がします。

彼らは私のような年配者に一生懸命、自分をアピールしてくるし、彼らなりにコミュニケーションを取ろうとしているのです。とても可愛く感じられるのが正直な感想です。

  • 特例子会社では、仕事を細分化して、ダブルチェックを行い、失敗しても本人に責任を問わない
  • 細分化した仕事を適材適所に振り分ける
  • 安定した仕事がある
  • 精神福祉や業務に精通した支援員が必ず配置されている
  • 社員の定着率が高い
  • 残業がない

私が現在勤めている会社に多い軽度知的障害を持っている社員ですが、やはり仕事の指示の習得スピードが遅く、上司や先輩の作業指示がなかなか理解できず、作業指示の内容を何度も確認します。

しかし、彼らを貴重な戦力ととらえているうちの会社では、彼らがなかなか指示を理解できなくても、理解できるまで何度もわかりやすく教えます。そして、何回か同じ業務を繰り返しやっていくうちに、だんだんできるようになってきます。

また、仕事で何か失敗したとしても、決して失敗した本人の責任を問わないようにしています。

そのために、特例子会社では、仕事を細分化しています。

一つ一つの業務に対して必ずグループを組み、グループ内の業務については、誰がが行った仕事(例えばデータ入力)を必ず他の人がもう一度チェックをし、データ入力ミスがないかをチェックし、もしミスがあれば訂正します。(もちろん本人も自分が行った業務ももう一度セルフチェック)

社員が一人で業務を行って仕事上の責任を一人で背負うのではなく、グループとして他の人の仕事をお互いチェックし、ミスしても1人で責任を負わなくてもいいようになっているので、仕事に対する過度な精神的な負担とプレッシャーを感じることく仕事に臨むことが出来ます。

合理的配慮が行き届いた特例子会社

私は「精神福祉や業務に精通した支援員が必ず配置されている」という特例子会社の運営上の仕組みが、知的障害や発達障害、精神障害を抱えている方が働きやすい環境を生み出しているのではないかと思いますが、皆さんどう思いますでしょうか?

支援員は、もちろん健常者ですが、社員1人1人の障害特性をすべて把握し、それに応じた粘り強い職業指導をして、仕事ができるようになるまで指導します。

従って、知的障害や発達障害、精神障害を抱える人でも安心して仕事をすることが出来ます。

軽度知的障害の方は、コミュニケーションが苦手で、自分の意志を伝えるのに時間がかかったり、上手く表現できなかったりするので、健常者である支援員は粘り強く相手の話を聞き、話の内容を理解するようにしています。また、私は知的障害ではないので、彼らの話す内容がとても幼く感じてしまう事があるので、彼らの話題(例えば、好きな芸能人やアニメ・ゲームなど)についていけるように話を合わせています。

私がこの会社で仕事をしているとなんとなく気分が若返るような気がするのは、彼ら(大多数を占める軽度知的障害の社員たち)のおかげかもしれません。

このように、支援員だけでなく、私のような知的障害ではない社員も、彼らと積極的にコミュニケーションをとるように会社から言われています。

軽度知的障害を抱える方の自立への道

現在、特別支援学校から私が働いている特例子会社に職業実習に来ている生徒さんが数名いらっしゃいます。特別支援学校では、特例子会社などで、職場体験や企業実習を受けられる機会が多いと聞きます。職場実習で、社会人としての対人マナーや職業スキルを学び、自立のきっかけの第一歩になればいいですね。

そして、この実習は、たいていの場合、採用選考も兼ねていると思います。企業実習で頑張って評価されれば、このように軽度知的障害に理解があり、緻密な職業指導で立派な戦力へと育ててくれる特例子会社で仕事ができるのが、自立への第一歩になると思います。

労働者を飼い殺しにする一般企業

一方の一般企業では当然のことながら、なんの配慮もありません。求められるのは、ただ「会社の売り上げ 利益に貢献できる戦力」です。能力があればいいのですがこれが出来ない社員は容赦なく切り捨てられます。

私は、発達障害ADHDであることに気が付かず、大学を卒業してから20年あまりずっと一般企業で仕事をしてきました。

以下は、これまでの私の職歴です。

勤続年数 会社名 職務内容 達成したこと、仕事の成果
1年半 証券会社 個人投資家に株式・債券などの営業・販売 新規顧客の獲得
預かり資産3000万円以上
1年半 建築用資材販売・レンタル 建築用資材(おもに足場)のルートセールス 現場調査、集金、職人の手配業務を任された
5年 スーパーマーケット スーパーマーケットでの商品販売 菓子・乾物・酒売り場の担当として販売を任された
4年 建築用資材販売・レンタル 建築用資材(おもに足場)のルートセールス 新規顧客の獲得(30社以上)
月売り上げ平均500万円以上
5年 紙類倉庫 紙類の倉庫での断裁、包装、フォークリフトでの商品のピッキング 紙類の包装・梱包の技術、フォークリフトの運転技術の習得
2年 紙類倉庫 紙類の倉庫での断裁、包装、フォークリフトでの商品のピッキング 紙類の包装の梱包の技術、フォークリフトの運転技術の習得

以上が私の職歴になりますが、いずれも最長で5年です。いづれも長く続きませんでした。長く続かなかったのは、「仕事に集中できない」「仕事以外の事を考えてしまう」「仕事でミスが多い」という事が多々あり、「自分はこの仕事に向いていないのではないか」と悩むようになり、衝動的に自分から辞めてしまうか、会社から「使い物にならないので辞めろ」と解雇されることが多かったからです。

この時は、発達障害などという言葉も知らず、ただ単に「自分の性格がだらしない」と思っていただけです。

特にひどかったのが、3番目の「建築用資材(おもに足場)のルートセールス」の会社でした。

仕事内容は顧客(建築会社や工務店など)を1軒1軒訪問して新規開拓して、顧客が「今度、あそこの現場に足場をかけてくれ」と要望があったら、現場に出向き見積もりをします。それで、足場を施工する職人を手配をして、足場の架け・払いをします。

日中は現場に出向いているので、午後6時ごろ帰社し、それから見積書の作成などを行います。これが終わるのは午後11時ごろです。毎日帰宅は午前様という有様でした。

職人が慢性的に不足しているので、顧客が要望する日時に間に合わない事があります。

そうなると顧客は猛烈に怒り出し、「約束と違うから工事代金を払わない」あるいは「半分しか払わない」と言ってきます。顧客に払ってもらえない工事代金については会社は「お前が責任をもって払え」と言われて、何回か自腹を切ったことがあります。

自分では気づかないのでしたが、ADHDの特性があったので、顧客の細かい要望に応えられらませんでした。

あまりにも過酷な企業環境のせいで新型うつを発症!そして解雇!

社員に自腹を切れとまで迫る一般企業は、やはり自分の会社の利益しか考えていないし、私はこのせいで、新型うつになってしまいました。つまり、会社に行くのが嫌で嫌でたまらなくなり、もともとADHDで集中力がなくミスも多かったのですが、余計ストレスで仕事に集中できず、ミスも増え、遊びにうつつを抜かすようになり、挙句の果てにパチンコにはまり、200万円の借金を抱えることになったのです。

その後、「あまりにも使い物にならない」と言われて会社を解雇されました。

自分の障害特性を表にしてみました。

番号 分析項目
不注意 とにかく管理が苦手
金銭管理が苦手
お金を計画的に使えない
書類や帳簿の管理が苦手
やる気が無い、怠け者などと思われやすい
自己評価が低くなって二次障害を招きやすい
衝動性 後先を考えない
思いつきで決断・行動する
相手の気持ちを考える間もなく発言してしまう
相手を傷つけやすい
お金の状況を考えずに衝動買いしてしまう
異性関係でも衝動的に行動して不幸な結果を招く
多動性(1) そわそわしている
じっと座っていない
貧乏ゆすりをする
終始手を動かす
早口でずっとしゃべる
経験によって学習される
ストレス耐性が低い
多動性(2) 感情をコントロールするのが苦手
仕事を先延ばしにして溜め込む
同時に色々やろうとして終わらない
飽きっぽく仕事中でも他のことが気になる
新しいことにすぐに手を出す
興味関心がある、面白い、やりやすい仕事を先にやってしまう

この表をみても、「自分はなんて、不注意で衝動的なんだ」と思ってしまいます。この状態では、まともな日常生活なんておくれないし、もし一般企業で働くにしても、働くのは厳しいでしょう。

まとめ

いくら、発達障害に気づかないでいたといっても、発達障害の特性があって、ミスばかり起こして、仕事に集中できないで、会社で嫌な事が重なって仕事が嫌になり2次障害として新型うつを発症してしまうような社員は、一般企業にとって使い物にならない厄介な存在でしょう。いらないと判断されて、すぐに解雇されてしまいます。

一般企業は本当に容赦がありません。長時間勤務で社員を過労死や自殺に追い込む企業も一般企業ですし。

その点、特例子会社なら安心できます。きちんと配慮されています。社員に無理なく仕事をしてもらえるように、支援員が配置され、1時間に5分の休憩時間が設けられているし、残業なく定時で帰れますから。

一般企業は成果を出せば人並み以上の給与を貰えますが、特例子会社は障害者に配慮が手厚い分給与は低く抑えられています。しかし、体力と精神をすり減らし働からせられる一般企業と、十分な配慮の元、自分のペースでのんびり働ける特例子会社、障害のある人にとってはどちらがいいのでしょうか?

発達障害や精神疾患がある方で、現在就労活動をしている方、特例子会社も再就職の選択肢に加えてみるのはいかがでしょうか。

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