障害者の逸失利益 あなたはどう思いますか?
今も残る障害者への差別意識

障害者の逸失利益 障害者雇用

障害者の逸失利益 今も残る障害者への差別意識

障害者の逸失利益についてみなさんはどう思いますか?

逸失利益とは

逸失利益とは、本来得られるべきであるにもかかわらず債務不履行や不法行為が生じたことによって得られなくなった利益の事です。

交通事故で死亡したり後遺障害を負ったりした場合、事故の後に労働が全くできなくなったり、労働の一部が制限されたりします。そうすると、事故がなければ得られるはずだった収入を得られないことになります。その得られるはずだった収入が逸失利益です。

事故にあった被害者が加害者に対して損害賠償を請求する際に争点となる事項です。

逸失利益とは?計算方法と職業別の具体例をわかりやすく紹介
交通事故の逸失利益について計算方法と職業別の具体例をわかりやすく解説します。

障害者は逸出利益が減額される?

社会生活を営む障害のある人が決して見過ごす事の出来ない判決がありました。

5年前に、大阪・生野区でが重機にはねられて亡くなった聴覚に障害のある聴覚支援学校小学部に通う5年生の女性(当時11歳)の遺族が事故を起こした運転手らに約6100万円の損害賠償を求める訴訟の判決が27日に大阪地裁でありました。

裁判長は就労で将来得られたはずの「逸失利益」の算定に「全労働者の平均賃金の85%」を用いるべきだとして、約3700万円の支払いを命じた。

事故でなくなった女性は、聴覚障害3級の認定を受けており、請求額の多くを占める逸出利益の算定方法が争われた。

遺族側は全労働者の平均賃金497万円を使うように主張。それに対し運転手側は全労働者の平均賃金の6割にとどまる聴覚障害者の平均賃金294万円が妥当だと反論した。

判決では、2021年に障害者差別解消法が改正され、2024年までに障害者が就労の妨げになる社会的な障壁を取り除く「合理的配慮」が企業の義務となり、耳の不自由な労働者にたいしては「音声認識アプリ」の普及によりコミュニケーションの手段も充実しつうつある。

被害にあった女性は他人と積極的に交流を図っていたことから、「将来的に様々な就労の可能性があった」と指摘した。

こうした事情を受け、被害者の女性が働くはずであろう時期には「聴覚障害者の平均収入の上昇が見込まれる」としながらも、障害の状況から、「就労の上で他者とのコミュニケーションが制約される」として健常者と同水準の逸出利益までは認めなかった。

日本経済新聞2023年2月27日の記事より引用・抜粋。

皆さんは障害者の逸出利益についてどう思いますか?

この判決について皆さんはどう思いますか?

ご両親は主張が全面的には認められなかったことについて「裁判所は障害者を差別している。娘の11年間の努力を認めなかったことが悔しい」とおっしゃっています。

お子さんを亡くされたご両親の心情を思うと・・・

この訴訟の判決のニュースを聞いて私はがっかりしました。なぜ、全労働者の平均賃金が適用されないのか。ご両親の言う通り裁判所まで障害者を差別しているとしか思えないのです。

今でも障害のある人への差別意識は依然として残っています。

今回の裁判の判決で、障害の「逸失利益」は労働者全体の平均賃金の満額とするとの判決を出したら、世間が障害者への差別意識をなくす絶好の機会なのにと残念に思いました

私の勤める特例子会社では、聴覚障害のある人が数名在籍しています。ボードを使った筆談や会話の内容をスマホやタブレットで表示する事ができるアプリを用いることで、健常者と普通にコミュニケーションを取ることが出来ます。

聴覚障害があるにもかかわらず業務のリーダーになった方もいます。その方はコミュニケーションツールを用いて的確にメンバーに業務指示を出し、テキパキと仕事をこなしています。その仕事ぶりに私は尊敬の念を抱いているほどです。

私は少なくても聴覚障害のある人においては、裁判所の今回の判決「労働能力が制限される程度の障害があることは否定できない」とは到底思えないのです。

発達障害のある人の逸失利益

発達障害のある人が交通事故とかで亡くなったら、加害者が支払うべき損害賠償に全労働者の円平均賃金の逸出利益が認められるのだろうか。ADHDである自分が事故で死んだら逸出利益はどれくらいなんだろうか?

裁判官によって自分の価値が決められてしまうのは嫌だ。

そんな事をふと思ってしまいました。

発達障害のある人は能力に著しい凹凸があります。向いている、あるいは特性にぴったりとはまる仕事なら素晴らしいパフォーマンスを発揮できるが、向いていない仕事に就いてしまうと能力を発揮するどころか、ミスの連発、コミュニケーション不全に陥って会社に迷惑をかけてしまいます。

私は障害者雇用の一形態である特例子会社に勤務しています。障害者雇用では合理的配慮の名の元、健常者とは区別され、責任の軽い単純な作業しか与えられない。

給与は健常者の6割といったところでしょうか。

障害者雇用 給料安い 仕事も単純 そのカラクリを解き明かします
障碍者雇用で働くと給料が安いです。何故安いのか。丸6年働いてきた私はそのカラクリが分かってきました。

障害に対して配慮されているからこそ、負担も責任も軽くのびのびと仕事をさせてもらっているので文句は言えませんが。

そう考えると私の逸失利益は全労働者の平均賃金の6割くらいになってしまうのでしょうか。

あとめ

障害のある人の逸失利益を考えるのは非常に難しい問題だと思います。

障害の種類もいろいろあるし、障害の程度の問題もある。抱えている障害によってどの程度日常生活や社会生活に制限を与えるのか。将来、その人がどれくらい活躍できるのか・・・

でも、司法の場において、もう少し障害者の立場に寄り添った判決が出てほしかったと思ます。

障害者の逸失利益について皆さんはどう思いますか?

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