発達障害は障害なのか?自分の個性や強みにする方法

発達障害は障害なのか メンタルヘルス
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発達障害は障害なのか?自分の個性や強みにする方法

自分は発達障害だから○○に自信がない。そう思う人は多いのではないかと思う。このブログに以前私はこう書いたことがあった。

発達障害があると成功体験に乏しく、自己否定をしてしまいがちです。そのため、自分に自信を持てないため、自立するのも難しい場合が多いです。

「それは違う。発達障害がある人全てが成功体験に乏しいわけではない」といった意見もあるかと思う。

確かにそう感じる方もいると思う。

私のブログの記事の書き方は私の経験をもとにして書いている。私がそうだからと言って発達障害を抱えている人全てに当てはまるものではないと十分に承知している。しかし、あくまで一般的な傾向ではなかろうか。

発達障害は障害なのか?自分の個性や強みにする方法

発達障害は障害なのだろうか?

私などは、今まで仕事でも家庭生活がうまくいかなかった理由が発達障害だと分かって「そーだったんだー」と自分の頭の中の霧が晴れたような感じだったが、中には逆に発達障害と分かった事によって「俺はやっぱりどうしようもない人間だったんだ」とふさぎ込んでしまい、うつ病などの2次障害に落ち込んでしまう人もいるだろう。

そういう人にとっては発達障害は障害なんだろう。

しかし、中には発達障害をプラスに捉えて、人生を実り豊かにしている人もいる。斬新的なアイデアや行動力で世界を席巻している偉人に発達障害のある人が多いといわれているのは確かだ。

ビル・ゲイツスティーブ・ジョブズも発達障害であったといわれているし、発明王エジソン、楽天の三木谷社長もADHDと言われている。

ビル・ゲイツ

Windowsの創始者。WordやExcelなど誰でも知っていて一度は使ったことがあるオフィスの仕事では不可欠なアプリケーションを開発した。幼い時からプログラミングに没頭して、アスペルガー症候群だと言われている。

発達障害は障害なのか

スティーブ・ジョブス 

Appleの創始者。Mac、iPad、iPodを開発して世界的な大ヒット。幼いころから好奇心旺盛。行動力が素晴らしくADHDなのではないかと言われている。

ここにあげた偉人たちはたしかに発達障害があるといわれているが、普通の人には考え付かないような創造性と行動力によってとてつもない成果を上げている。

発達障害というのはその人の「個性」であり、「能力」だとも言われている。しかし、その能力をいかんなく発揮し、創造的ですばらしい人生を歩んでいる人はほんのごくわずかではないだろうか?

いくら歴史に名を遺す発明家や経営者に発達障害がある人が多いといっても、たいていの人はその特性を能力や個性として発揮できず、生きづらさを感じているのではないだろうか?

発達障害のある人はこんなことに悩んでいる

いわゆる大人の発達障害のある人は、学生の時はたいして問題もなく過ごしていたのに、社会人になったとたんに、人間関係や仕事がうまくいかなくなる人が多い。だいだい以下のようなことで悩んでいる事が多いと思う。

  • 仕事でミスばかりする
  • こだわりが強く、マニュアル通りに仕事をしないと気が済まない。
  • 些細な事でも気になり、仕事にやたらと時間がかかる。
  • 人の話をうまく聞けない
  • 仕事をしていても興味がないとつい別の事を考えてしまい集中できない
  • メモがうまく取れない
  • 仕事をしていても、今までしていた事を忘れてしまう。
  • これから何をしたらいいのか分からずパニックになってしまう。
  • 仕事をしていても、思いつきで行動してしまう
  • 「これでいいのか」と上司や先輩に確認をせずに先走って仕事や作業をしてしまう。それで、結局間違えたことをしていてやり直しになってしまう。
  • 何か仕事を始めても、それを完全に終わらせないで、中途半端に別の仕事に手を付けてしまう。どれもこれも中途半端になってしまう。
  • 仕事の締め切りが守れない
  • 整理整頓が出来ない。自分の机や作業スペースが散乱していてどこに何があるかわからない状態になる

以上はほとんど私自身に当てはまっている。

毎日、上司から怒られていると、だんだん自信が無くなってくる。私と同じように悩んでいる人は多いのではないのだろうか。

発達障害のある人は成功体験に乏しいのか?

私は、大学を卒業して10社以上の企業を渡り歩いた。すなわち職を転々としていたわけであるが。どこの企業でも結局、自分が労働力、あるいは戦力として認められなかったのである。

その理由として、その会社の人間関係に馴染めなかったり、ミスが多かったりしていたからである。最長で5年、短くて2週間。自分から退職を申し出たり、解雇された。

会社に行くといつも上司に怒られる。「こんなこともできないのか?」って。仕事に行くのが嫌でたまらなくなる。

これは、性格なのだろうか?自分の努力が足りないのだろうかと私はいつも悩んでいた。

解雇される度に、「自分は本当にどうしようもない人間なんだ」「仕事を通じて社会に全く貢献できない」「仕事がしたいのに。辞めるつもりはないのに」と思うようになり、本当に自分そのものが嫌で「生きていてもしょうがない」と感じるようになった。

解雇されるという事は、自分を否定されることである。こんな事を肯定的に受け止められるわけがない。これでどうやって自信を持てというのだろうか?

私は解雇という自己否定の最終系によって自分のプライドをズタズタにされた。

結局、発達障害と診断されて、自分のこれまでの失敗や周りの人に受け入れられなかっただけでなく、おまけに当時結婚していたのだが、嫁やその義理の母からさんざん酷い事を言われた

発達障害は障害なのか

障害者のくせに!

お前はだらしがない。3歳児以下だ!

こんなのが身内にいると思うと恥ずかしい

家庭でも私の人間性すら否定するような接し方をされた。この言葉は今も私のトラウマとなって頭に残っている。

自分は紛れもない障害者なんだなと。もはや普通の人のように幸せに生きる事が出来ないのだと思っていた。

今の日本は発達障害者が生きにくい社会

あくまで私の感想であるが、発達障害のある人は、今の日本の社会はとても発達障害のある人がいきにくい世の中だと思う。その理由として、私は、社会全体のしくみが、発達障害のある人の能力や個性が発揮されずらい仕組みになっているのではないかと思うのである。

日本では残念ながら発達障害に対する知識や認識が不足していて発達障害にどう対応していいか分からない厳しい社会。

ちょっと的外れな行動をしてしまったり、約束を忘れてしまったり、 少しでもコミュニケーションが取りづらかったりしていると、家庭から、あるいは社会から、たちまち疎外されてしまう。

日本は、もともと農耕社会で、集団性、均一性、没個性が重視されます。集団で一つの目標に向かって行動し、目的を果たす。皆と同じように行動できるような人物が重視される傾向にある。そのため個性の強い発達障害者は社会から疎外される。

コミュニケーションが苦手でも腕一本で生きていける素晴らしい仕事 職人の仕事の衰退

一昔前なら、いわゆる職人、手に職をもった職人の仕事が多かった。

建築現場で働く鳶職人、腕のいい旋盤工、自動車整備士、調理師、寿司職人、電気技師、パン職人・・・・。

職人っていうといわゆる肉体労働っていうイメージだけど、何もないところから自分の腕一本で新たな価値を作り出していくとても素晴らしい仕事だと思う。

発達障害のある人はコミュニケーションが苦手な人が多い。職人の仕事なら少しぐらいコミュニケーションができなくても、誰もが羨むような超一流の技術がある。その腕一本で十分に生きていけた。職人の仕事は発達障害に向いていると私は個人的に思う。

ちなみに亡くなった私の父の話だが、私の父は本当にコミュニケーションが苦手だった。自分の思う事を他人にうまく伝える事が出来ない。おそらくアスペルガー症候群だと思う。

父の職業は旋盤工。旋盤工とは、工場で「旋盤」という機械を使って金属などを切削加工する職人・作業員のことである。

私の父はコミュニケーションはあまりできないが、腕は確かで、「いい物をつくる」という職人ならではのこだわりが相当強かった。いわゆる職人気質である。なので、コミュニケーションが必要な管理職になることはなく、定年までずっと平社員だったそうだ。

しかし、産業構造の変化がこれらの職業を衰退させていった。現在は大量生産・大量消費の時代である。

人々が生活の場で使う道具、工業製品、食べ物、家にしろ世の中にあるものはほとんど一昔前はいわゆる職人さんが一つ一つこだわりと真心を込めて丁寧に作っていた。しかし、戦後になって高度経済成長期になってそれらは大量生産されるようになった。

なぜならこだわりを持って一つづつ丁寧に作っていくよりも、工場で機械で大量に生産した方が効率的であり、出来た製品は安いからである。

消費者の方も丁寧な手作り品より大量生産された安い製品を求める。まあ当然の流れである。

生産過程の機械化により、職人に対する需要が低くなり、求人も減る。コミュニケーションが必要な営業や接客の仕事が増えていて、求人をみるとそのような仕事ばかりである。

しかもいわゆる職人の仕事はいわゆる3K職業である。(キツイ、汚い、怖い)若い人はこれらの職業を敬遠する傾向にある。現在は発達障害のある人の職業の受け皿がどんどん狭くなっている気がする。

営業や接客に限らず、いわゆるホワイトカラーの仕事は対人スキルが必要である。

という事は対人スキルが苦手な傾向にある発達障害を抱えている人は苦手な対人スキルを克服しなければならない。ないものを求める。健常者優位の社会に自らを合わせなければならない事である。


発達障害のある人が向いている職業とは?

参考なまでに一般的に言われている発達障害のある人が向いている職業について述べてみようと思う。

発達障害がある人でも、適職に就くことが出来れば、その特性は「障害」ではなく「個性」「武器」に早変わりするであろう。そこで一般的に言われている発達障害のある人の適職についてまとめてみたいと思う。

発達障害のある人は、具体的にどのような仕事が向いているのだろうか?

一般的には、協調性や対人スキルがそれほど重要視されず、管理能力や柔軟性、臨機応変な対応がさほど必要とされない業務が発達障害を抱えている方に向いている職業であると言える。

ASD(自閉症スペクトラム障害)に向いている職業

ASの脳のタイプ 職業例
視覚的思考型 グラフィック・アーティスト
動物の訓練士
ウエブデザイナー
コンピュータートラブル処理
プログラマー
写真家

音楽・高等数学型 コンピューターエンジニア
音楽演奏家
作曲家
物理学者
統計家
言葉リスト・翻訳型 ジャーナリスト
翻訳家
証券アナリスト
公認会計士
弁護士
言語聴覚士

ASの人は、興味のある分野が限られていて突き詰めて行く傾向がある。その対象が「音楽分野」であれば、作曲家や演奏家、「数字」であれば公認会計士や税理士、「言葉」であればシャーナリストや翻訳家です。

ADHDに向いている職業

次にADHDに向いている職業です。

職業類型 職業例 解説
専門的職業 研究者 
学者 
学校や塾、予備校の教師
専門的、マニアックな知識やひらめきが生かされる。
ADHDの特性の一つである創造性が生かされる
創造的職業 新聞・雑誌の記者 
作家 
ジャーナリスト 
カメラマン 
ディレクター 
プロデューサー 
マスコミ関係 
強い変化と刺激に満ちた職業
退屈しない
単純な作業が苦手なADHDにはもってこいの仕事
視覚的職業 イラストレーター
スタイリスト
漫画家
建築家
画家
広告関係
CGアニメーター
グラフィックデザイン
デザイナー
視覚的な才能に長けているADHDには適している職業
機械操作的職業 調理師 
自動車整備工
電気技師 
図書館司書
校正者など
人間よりもむしろ機械類を相手にする職業
対人関係を気にしなくてもよいのでADHDに向いている
正義感的職業 警察官
消防士
ADHDの優れた特性である正義感が役に立つ職業

以上参考書籍 星野仁彦 発達障害に気づかない大人たち(職場編)

参考サイト

発達障害(ADHD/アスペルガー)の仕事や適職

また、上の表にはないが、ADHDのある人は、その行動力、好奇心から起業家に向いているのだそうだ。

発達障害がある人は以上のような職業に就くことが出来れば、その特性を武器に変えて、立派な職業人生を送ることができるだろう。

しかし、上の表にあるような職業は専門的な職業が多い。よほど早い段階からその職業を目指して勉強や訓練をして行かなければ就くのは難しいだろう。

どうしてもやりたいという強い意志があって応募してみたり、親を始めとする周りの大人のコネがあれば就労できるかもしれませんが現実的には難しい。

誤解しないで頂きたいのだが、ADHDだから〇〇の仕事に向いている、ASDだから○○の仕事に向いているとは一概には言えない。大切なのはその人の能力である。

現実問題として、発達障害に気付くのは大人になってからという人が増えている。

私事ですが、発達障害と気付いたのは44歳になってから。それまでは職を転々としながら普通の会社で正社員として働いてた。よくミスをするので「なんかおかしいな」「他の人は出来るのに自分は何で出来ないんだろう」といつも思ってた。

今となって考えてみれば、私はウエブサイトやホームページ作成に興味があり、この仕事は独創的に自分で工夫して仕事できるのでADHDには向いていると思うが、今となっては年齢的にも無理だ。

上の表にある仕事は、よほど、幼いころから発達障害の傾向があると周囲の大人が認識していて、早い段階から本人が興味・関心を持っていて、勉強したりするなど準備をしなければならない。

例えば漫画家やイラストレーターなどは、創造的でADHDには向いているかもしれないが、「どうしても漫画家になりたい」という強い意志とそれなりの才能(絵を描くことやストーリーを考え付く能力)があって、それこそ幼いうちから準備していかないと、漫画家として大成は無理である。

障害を個性や武器に変えるには?

もう少し現実的に考えてみよう。

上にあげたような職業について大いに自分の能力を発揮している発達障害を抱える人はたくさんいると思う。しかし、現実問題として大人になって発達障害と診断された人はこれらの職業に就くのは難しい。

私は、特例子会社に入社してまもなく3年になる。発達障害である自分の特性を武器にしているかは分からないが、今のところ順調にこなしている。私の特性に向いた業務も見つかり、たいしてミスもなく仕事をこなしている。

成功体験に乏しいといっている発達障害のある人が何よりも自信になるのが、「体験してみる事」「何とか必死に仕事を覚えてうまくやる」といった成功体験ではないだろうか?

幸いにも「障害者雇用促進法」の適用範囲に精神障害者(発達障害を含む)が追加され、全従業員に対する障害者の割合「法定雇用率」が現在の2.3%から今年の4月に2.5%に引き上げられる。

精神障害者や発達障害のある人の企業の受け皿が増えつつ整いつつある。今こそチャンスである。

就労面で発達障害を自分の武器にするには以下の事が必要であると私は考える。

  • 自分の障害とうまく付き合う事
  • 自分の障害ときちんと向き合う事
  • 自分の障害を受け入れる事
  • 周りの人の協力と理解を得る事
  • なによりも体験してみる事
  • 成功する事が自信になる

やはり、発達障害を受け入れ、自分の個性というか、武器にしていくしかない

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