障害者雇用 給料安い 仕事も単純 そのカラクリを解き明かします

障害者雇用

障害者雇用 給料安い 仕事も単純 そのカラクリを解き明かします

私は発達障害ADHDと診断されて障害者雇用で働いてきました。障害者枠で働くとものすごく給料が安いです。丸6年障害者雇用で働いてきてなぜ給料が安いのかそのカラクリが分かってきました。

障害者雇用の仕組み、企業側のメリット、コストパフォーマンス、労働者にそれに見合うだけの見返りがあるのかまとめました。

なぜ障害者枠で働くと仕事が単純で給料が安いのか?

まずは下の表を見て頂きたいです。

障害区分 労働時間 給与額(平成30年度) 平成25年度
身体障害者 通常(週30時間以上) 248,000 251,000
20時間以上30時間未満 86,000 107,000
20時間未満 67,000 59,000
知的障害者 通常(週30時間以上) 137,000 130,000
20時間以上30時間未満 82,000 87,000
20時間未満 51,000 35,000
精神障害者 通常(週30時間以上) 189,000 196,600
20時間以上30時間未満 74,000 83,000
20時間未満 51,000 47,000
発達障害者 通常(週30時間以上) 164,000 データなし
20時間以上30時間未満 76,000 データなし
20時間未満 48,000 データなし

データの出典 厚生労働省「平成30年度障害者雇用実態調査」「平成25年度障害者雇用実態調査」

ちょっと古いデータになりますが、厚生労働省による「平成30年賃金構造基本統計調査」によりますと、一般の労働者のフルタイムでの平均賃金は男性が337,600円、女性が247,500円なのだそうです。

障害のある方の賃金は身体障害のある方の賃金が一番高く、知的障害のある方の平均賃金は117,000円です。これでどうやって生活するの?っていうくらいのレベルです。

単調な特例子会社の仕事内容

発達障害ADHD当事者である私は都内にある特例子会社で障害者雇用をされて正社員として働いています。

ところがその仕事ときたらどれもこれも単純作業ばかりで刺激を求めてしまうADHDの僕にとっては苦痛なんです。さすがに今の会社に丸6年も働いているので慣れましたが・・・

例えば、シュレッダー。下手すると一日中シュレッダー作業をやっていたりする。ひたすらシュレッダー。シュレッダーの機械は熱で暑いし、作業中は汗だく。なにも考えずにただシュレッダーだけやればいいとは本当に苦痛。

他にも「簡単なデータ入力」というのがある。

これは、両手ではなく、右手でテンキーにただ数字を入力していくだけのものや、他の人の入力したデータが元のデータ(紙媒体)と合っているかどうかを調べて合っていなかったら修正するという作業を行う。

仕事量が少なく、ただひたすら他の人が打ち込んだデータのダブルチェック、下手したらトリプルチェックまで行う。これは手を動かすことなく、目で追うだけだから余計に退屈。

この作業がADHDがある僕にとって苦痛。仕事が単調で退屈。なんです。退屈極まりなく、眠くなり集中力がすぐに切れてしまいます。

やっぱり、ADHDにはこういう仕事はムリだ。
こだわりと細かさと集中力が顕著な自閉症スペクトラムの人にはこういう仕事はむいているんだろうけどね。

僕がこういう仕事が苦手で、集中できなくて入力ミスが多いって言っても、会社にとってはそれはただの言い訳で怠慢とかやる気がないとかにしか見えないんだろうなー 
いくら障害者雇用であっても。

しかも、配慮という名のもとで給料がめちゃくちゃ安い。朝9時から夕方5時までの7時間勤務で月収手取り13万円。こんなんじゃまともに生活出来ない。

今は実家で生活しているからまだいいが、独立して一人暮らしするのも無理だし、まして結婚なんて絶対に出来ない。入る会社を間違えっちゃったかな?

なーんて 今の会社に入社して3年くらいはそんなことばかり考えていました

障害者雇用の現場ではどんな仕事をしているのか?

では、具体的に障害者雇用の現場ではどのような仕事をしているのでしょうか?

以下の表は僕が勤めていている特例子会社の仕事の内容の一覧ですが、ご覧になっていただくと単純な作業がいかに多いかお分かりでしょう。

データ入力
障害者雇用給料
シュレッダー
障害者雇用給料
販促物の作成
(ラミネート加工や裁断機で販促物の不要な部分のカット)(簡単な軽作業)
障害者雇用給料
グループ企業への郵便物や宅配便の仕分けと受付
障害者雇用給料
封筒に印刷物を入れるだけの封入作業
障害者雇用給料
押印(ただひたすらにハンコを押す)

僕が勤めている会社では、こんな単純な作業をほぼ丸一日ずっとやってます。

障害者枠の仕事ではやりがいがない

僕は発達障害ADHDがあるにしてもその特性というか症状は軽いし、ケアレスミスが多いのは自分でも認めますが、意識して集中していけばミスは防げます。

なにもこんな単純な作業をするつもりで今の会社に入ったわけではないです。こんな単純な責任の軽い仕事ばかりやっていても全く物足りないし、やりがいがありません。

まだ定年退職まで8年もあるのにいつまでこんな単純な事をしていればいいのかという気持ちもあります。今の会社でキャリアアップが望めそうにもありません。

僕が発達障害と診断される前に転々としながらも一般の会社で正社員としてやってきましたが、どうしても限界があったので就労移行支援の職業訓練を経て今の会社に入社しました。

2019年の4月から正社員となりましたが、正社員になったからと言って仕事が変わり責任のある仕事を任せられるわけではありません。

僕の勤めている特例子会社は軽度知的障害者の雇用の受け面として設立された経緯があるので仕事の内容は単純な仕事が多いです。

なぜ健常者と障害者枠で働く人の給料はこんなに違うのか?

仕事が限定されている分、どうしても賃金は安く設定されてしまいます。

健常者が働いてもらえる給料は時給換算にして2000~3000円と言われています。それに比べ障害者の給料は時給で1000~1200円前後です。最低賃金レベルです。

まずどうして障害者枠だと仕事が限定されてしまうのかを考えていきたいと思います。障害者雇用の場合、特に知的障害や精神障害の場合は営業のような責任の仕事に配属される事はありません。

その理由は、責任のある仕事を任せてしまうとオーバーワークになったり責任の重さに押しつぶされメンタルがやられてしまって仕事どころじゃなくなってしまうからです。

発達障害が発覚する前、健常者として働いていた時は、営業や倉庫の現場でフォークリフトオペレーターとして勤務していた事がありますが、その責任の重さ故にプレッシャーに押しつぶされメンタルがやられました。

障害者雇用では能力、経験などを考慮し、適正な仕事量や過度な職責にならないように適切に配慮する必要があります。そのため、比較的責任の軽い単純な作業や事務の仕事などが多くなってしまいます。

企業活動しているとどうしても収益の発生しない作業というのが発生します。いわゆる雑務です。それは事務の仕事(簡単なデータ入力など)、書類の整理、シュレッダー作業などですが、もともとは会社の総務部とか庶務課などが行っていた仕事です。

しかし、障害のある人の社会参加や社会復帰を促す法律が整備され、企業が障害者を雇わなければならならなくなったので、どのような仕事なら障害のある人に任せられるのか考えた結果、責任の軽い業務を障害のある方へメインの仕事として任せることになったのだと思います。

障害者雇用の現場に多く見られるようななどは仕事の成果や結果が数字で表しにくいものです。

最低賃金減額の特例制度

どんな仕事でも最低賃金が保証されています。ただし次の場合には、都道府県労働局長の許可の元、最低賃金法に定める最低賃金より低い賃金で雇用する事ができるという制度があります。

  • 精神または身体の障害により著しく労働能力が低い方
  • 試用期間中の方
  • 基礎的な技能等と内容とする認定職業訓練を受けている方のうち厚生労働省令で定める方
  • 簡易な業務に従事する方
  • 断続的労働に従事する方

この制度は全ての障害のある労働者に適用されるわけではありません。労働者一人一人の能力に応じて慎重に見極めていかなければなりません。

まとめ 障害者雇用の現状・問題点

障害者雇用における賃金は、障害年金を受給しているのを前提にしているとおもいます。障害者年金と障害者雇用での給料を合わせている。

障害のある人は障害者雇用制度において「障害者」として健常者とは別に区分され、誰でもできるような簡単で単純な仕事しかさせてもらえない。

人それぞれの特性や適性があって、それを配慮するのは障害者雇用の役目ではないのか?ただ単に単調な仕事をさせればよいというわけではない。

目に見えない障害だからこそ、企業側は働く人それぞれの特性を見極め、その人の能力や適性に応じた仕事を用意しなければならなりません

  • 障害者雇用|健常者と同じ労働内容・時間なら同一賃金
  • 障害者雇用|障害者に合わせた労働内容・時間なら最低賃金以上

障害者に担当させている仕事や障害者が発揮している能力は、本当にその程度の価値なのか、個別に洗い直した方が良い。

これまでは、採用してもらえるだけでありがたいという障害者側の意識のおかげで問題にされなかったかもしれませんが、非正規雇用に「同一価値労働同一賃金」を及ぼす世の中の趨勢が強まるにつれ、「障害者の処遇がこれほど低いのはおかしくないのか?」との疑問が当然に湧いてくると思います。

私の正直な今の気持ちとしては、最初の頃は、自分は賃金が低くて、任せられる仕事は単純作業ばかりでやりがいも感じらず、健常者が営業とか人事とか、パソコンで一生懸命仕事をしている健常者の社員さんが羨ましくて仕方がありませんでした。

今は障害者として手厚い配慮が受けられるし、障害者として恥ずかしくなく仕事ができるので、賃金が低いのも仕方のない事だと思っております。

参考サイト

障害者雇用の給料が安いって本当? - 障害者の転職・就職成功の道!
この記事では『障害者雇用の給料は本当に安いのか』についてあらゆる視点から紹介する。 ・障害者雇用だと給料が安い…。一人暮らしだと本当にやばそう。 障害者雇用枠で就職を叶えた、RepeLの共同執筆者である黒田がよく口にしている言葉だ。 そこで...
障害者雇用の給料が安いって本当?
この記事を書いた人
ダイスケ

はじめまして
52歳、千葉県在住・都内勤務の会社員です。

45歳の時に発達障害ADHDと診断ました。
精神障害者福祉手帳3級 保持のADHD当事者です。

発達障害の特性に悩まされ苦難の人生を歩んできましたが、やっと自己肯定感が増して幸せだと思う様になりました。

50歳を過ぎ人生これからだと思う様になりました。

発達障害日常生活や社会生活に困難を抱えている方が多いと思います。

このブログでは、発達障害を抱えても、どうすれば幸せに生きていけるのか、私の経験をもとにお役に立てる情報を発信していきたいと思います。

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