大人の発達障害 仕事が続かない原因と職場に定着するために大切な事

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大人の発達障害があると仕事が続かないって悩んでいる人は多いと思います。この記事ではなぜ発達障害があると仕事が続かないのか。私の経験を踏まえてその理由を考えていきたいと思います。

発達障害があって仕事がうまくいかないと悩んでいて転職を考えている方、現在離職してしまって社会復帰を目指している方にとって参考になれば幸いです。

大人の発達障害 仕事がなぜ続かないのか

大人の発達障害とは

何をやってもダメだ
俺は社会不適合者だ

「俺の人生、いったい何なんだ。何事も一生懸命取り組んでいるのにいつも失敗ばかり。とてもつらいし生きづらさを感じてしまう」

学生時代は特に何も問題もなくすごしてきたのに社会人として社会に出たとたん、仕事も人間関係も何もかもうまくいかず、「自分は何をやってもだめだ」自分は社会不適合者」と自分で烙印を押してしまう。生きていく自信さえも失ってしまう。

こんな人が増えています。

そんなあなたはもしかしたら大人の発達障害かもしれません。

子供の時は気づかない発達障害

発達障害とは生まれつきに脳の情報処理や制御に偏りがあって、物事の捉え方や行動に特性があって日常生活や社会生活に支障をきたす状態の事です。脳の先天的な機能の特性であって治ることはありません。

発達障害のある人は生まれてから死ぬまで一生、発達障害と付き合っていかなければなりません。

大人の発達障害とは、自分自身が発達障害であることを大人になって初めて気がつくことです。

発達障害の人は幼少期からその特性が現れるのですが、子供の時や高校生、大学生の時は自分がちょっとおかしいとか、他の人と違うとうすうす気がついていてもそれほど日常生活に支障がなかったり、家族や友達といった周りの人はちょっとおかしい言動があっても「ちょっとおっちょこちょいだね」とか「○○ちゃんは天然だね~」なんて許してくれる。

ところが、社会に出るとそうはいかなくなります。

社会に出て初めて発達障害と気づく

大多数の方は学生時代を終えると会社に就職します。会社の社会的目標はよりよい商品やサービスを提供することで利益を上げることです。利益を上げることで従業員に給料を払い、税金を納めることで社会に貢献します。

「利益を上げる」ために従業員は一丸とならなければなりません。

会社は「利益」という目的に向かって忠実に業務を遂行してくれる従業員に対しては優遇しますが、ミスやトラブルが多くて企業活動の足を引っ張る従業員に対しては排除しようとします。まあ当然の事です。 

仕事の場で頻繁にこういう言動があると会社の業務に支障をきたしてしまいます。

発達障害がある人は、会社に入ってからミスやトラブルを起こして他の従業員の迷惑となってしまう事が多いのです。自分では一生懸命仕事をしているつもりなのになぜかトラブルを起こしてしまう。

同僚や上司から叱責されて、初めてもしかしたら自分は発達障害なのではないかと疑い始め精神科や心療内科に相談し発達障害と診断されるケースが多いです。

私も大学を卒業してから仕事が長続きせず、短期間での離職や解雇を繰り返してきました。いづれも私の発達障害の特性によるミスやトラブルが原因でした。

接客業でレジの業務がうまくいかなくて頭が真っ白になったり、倉庫でフォークリフトを運転していて商品を倒してダメにしてしまったり、フォークリフトをエレベーターの扉に激突させたり・・・いろいろな事がありました。

職を転々とし、46歳になって初めて発達障害ADHDと広範性発達障害と診断されました。

大人の発達障害がある人はなぜ仕事がうまくいかないのか

では具体的に大人の発達障害があると、なぜ仕事がうまくいかなくなるのでしょうか?

ADHD
大人の発達障害 仕事

注意力に欠け気が散りやすく(不注意)、落ち着きがなく(多動性)、自分の欲望や欲求が抑えられずに無計画で衝動的な言動を取ってしまう(衝動性)が主な症状であるADHDのある人が社会に出てると次のようなトラブルを起こす事が多い。

  • ミスや抜け漏れが多い
  • 仕事でミスをしてはいけない場面でミスをしてまう。仕事の手順が頭から抜け落ちてしまう。

  • パニックになってしまう
  • 覚えなければならない事が多くてなかなか覚えられない、やるべきことが重なってしまうと何から手をつけていいか分からなくなってしまうという事があると、パニックになって頭が真っ白になってしまう。

  • 予定や期日を忘れてしまう
  • いつまでに仕事を完了させなければいけない、いつに人と会う約束があるといった予定を忘れてしまう。頭から抜け落ちてしまう。

  • マルチタスクが苦手
  • 複数の仕事を一度に進めようとすると何から手をつけていいか分からなくなる。

  • 自分の好きな仕事を優先してしまう
  • 仕事の優先順位がわからならいので、計画性もなくとりあえず自分のやりやすい仕事、好きな仕事を優先してしまう。その結果、どの作業や仕事の中途半端になって同僚や上司に迷惑をかけてしまう。

    ADHDがある私の場合は、マルチタスクが苦手で、先延ばしといって、気が進まない、あるいは興味のわかないような業務や作業は「あとでやろう」なんて考えてしまいます。そうすると、作業がどんどんたまっていって収拾がつかなくなってしまいます。

  • 集中できない
  • つい他の事を考えてしまい気が散ってしまう。今すべき仕事に集中できない。集中できないので目の前の仕事に注意が向かなくなりミスをしてしまう。

  • 他の人の話を遮って思ったことをすぐに口にしてしまったり、人の話を最後まで聴けない
  • ADHDがあると、周りの人への気遣いを無視してその場の空気を読む前に自分の思ったことをすぐじ口にしてしまい相手を怒らせてしまう事がある。またしゃべりたい欲望を抑えることが出来ずに相手の話を遮ってしまう事がある。

ADHDはワーキングメモリという短期記憶を司る機能が健常者と比べ弱いため、物事に集中できなかったり、注意力を適切なものに向けられなかったりします。

自閉症スペクトラム障害(ASD)

特定の事に深いこだわりがあり、興味の幅が狭く社会性・対人スキルに欠ける自閉症スペクトラム障害がある人はは社会に出たら次のようなトラブルを起こす事が多い

  • 指示が理解できない
  • 自閉症スペクトラム障害がある人は、「たくさん」とか「そこ」といったあいまいな指示が理解できない。具体的に指示をしないと混乱してしまう。

  • 人間関係を構築できずチーム内で孤立してしまう
  • 職場の仲間とどのように接していいか分からない。そもそも周囲の人と人間関係を作ろうという気持ちがなく一人の殻の中に閉じこもってしまいう。

  • 一つの作業に没頭してしまう
  • 完璧にやらなければならないというこだわりが強いため、作業にやたらと時間がかかってしまう。

大人の発達障害の人が職場に定着するために大切な事

発達障害のある人が安定的に職業生活を送るにはどうしたらよいでしょうか。

徹底的に自己分析する

発達障害がある人は徹底的に自己分析を行うようにしましょう。

まずは自分の特性を理解し、受け入れることです。受け入れることが出来たら、マイナスなところばかり目を向けずにプラスの面にも目を向けるべきです。

たとえば、ADHDの場合なら、落ち着きがないのは行動力があるとも言えますし、空気が読めないのはマイペース、こだわりがあり頑固で融通が利かないのは自分の意思をしっかりと持っていて他人に左右されないとポジティブに考えることもできます。

それを踏まえて自分は何が得意なのだろうか。何ができるのだろうかと徹底的に自己分析するようにしましょう。

自分に適した雇用形態を選ぶ

発達障害がある人が安定した職業人生を歩むには、自分に適した雇用形態を選ぶ必要があります。

幸いにも、現在は昔に比べ発達障害や精神障害に対する社会的認知も広まり、障害を抱える人を労働者として受け入れる企業も増えています。最近増えているのが「一般企業の障害者枠」と「特例子会社」です。両者とも障害をオープンにして、障害を持つ労働者に配慮した職場づくりを目指していく体制を整えています。

自分の障害や特性を就職先に伝えるか否かで、働きやすさが違ってきます。障害のある人が選ぶことが出来る雇用形態は次の通りです。

  • 一般企業へのクローズ就労(一般枠)
  • 障害を開示せずに健常者と同じ雇用条件で就労する。

  • 一般企業へのオープン就労(一般枠)
  • 障害を開示して健常者と同じ雇用条件で就労する

  • 一般企業への障害者枠での就労(障害者枠)
  • 障害を開示して一般企業の障害者雇用に就労する

  • 特例子会社への就労
  • 障害者を開示して障害者のために特別に配慮した特例子会社に就労する

  • 福祉的就労
  • 心身に障害があり一般企業で働くことが難しい場合、福祉サービスを受けながら働く。就労継続支援A型、B型など。

発達障害に限らず精神や身体に障害のある人がはたらく雇用形態には、障害を開示して一般企業へ就労する「一般企業へのオープン就労」というのがあるとこの記事を書くにあたっていろいろ調べてみて分かりました。

障害があっても、営業職や能力や実績があれば部署を管理するリーダーやマネージャーにもなれるそうです。給与面においても健常者と変わりありません。

しかし、採用されるには障害や特性による困りごとを上回るような仕事の成果を出せるようにならなければなりません。職責の重さにも耐えられるようなタフな精神力も必要です。

私はミスや抜け漏れが多くマルチタスクが苦手なので、障害に対して特別な配慮がある特例子会社に就労することを選びました。

一般枠でのオープン就労を目指す方は、自分の障害が仕事にどういう影響を与えるのか、自分がどう貢献できるのか考えてほしいと思います。

就労移行支援事業所を利用する

発達障害がある人が安定した就労を目指すには、就労移行支援事業所を利用するのがお勧めです。

就労移行支援は障害がある方の就労をサポートする障害福祉サービスです。職業訓練、職場探し、職場への定着支援など、手厚いサポートを利用することができます。

就労移行事業所とは、障害がある方を訓練の対象とし、主に、一般企業の障害者枠や特例子会社への就労をサポートする障害者総合支援法に基づいた障害福祉サービスです。

具体的に言いますと

  • 挨拶や報連相、身だしなみなど社会生活を営む上での対人スキルの習得
  • 集中力の持続
  • 職業習慣の確立
  • パソコンのエクセルやワードなど事務系職種に就労した際に欠かせないオフィスソフトの操作の取得
  • 自らの特性への気づき・自己分析
  • 適正や課題の把握
  • 職場見学・実習
  • 求職活動
  • 採用後の定着支援

以下の表は、私が就労移行支援事業所での職業訓練で徹底的に自己分析し、今まで気づかなかった自分自身の特性です。

障害特性 現状・対策
不注意 仕事の指示を聞いていない メモを必ず取り、作業をする前に必ずそれを確認する。
同時に複数の作業ができない 優先順位を考え、優先順位の高いものから処理していく
ケアレスミスが多い セルフチェックに時間をかける。ダブルチェックをお願いする
とにかく管理が苦手で忘れ物が多い 定物定位を心がける
金銭管理が苦手 金銭管理表を活用する
お金を使う予定を考えて衝動的なお金の使い方はしない
お金を計画的に使えない ギャンブルをやらない。やったとしてものめりこまないように気を付ける
書類や帳簿の管理が苦手 環境の整備(仕事に必要なものしか作業スペースに置かない)、ファイリングして書類を整理
やる気が無い、怠け者などと思われやすい 目的意識を持って仕事に取り組むようにする
自己評価が低くなって二次障害を招きやすい 訓練を受ける前は自己否定していたが、訓練によって自信がついて二次障害はない
衝動性 後先を考えない 計画を立てる習慣を身に着ける
とにかくせっかちで思いつきで決断・行動する 作業指示を頂いたら早期の内容の確認、不明点があればすぐに確認
相手の気持ちを考える間もなく発言してしまう 自分が言いたい事があってもしゃべりだすタイミングを計る
相手を傷つけやすい 話す相手の立場になって考える 考えて話す
お金の状況を考えずに衝動買いしてしまう 無駄な物の購入やギャンブルは控え、本当に欲しい物のリストを作る
多動性(1) そわそわしている 仕事中は作業に集中する。
じっと座っていない 仕事に対して興味関心を持つ
貧乏ゆすりをする 集中力持続のために適度に休憩をとる。(1時間に10分程度)
早口でずっとしゃべる 要点をまとめられず、話が長くなる傾向がある
ストレス耐性が低い 業務を途中で投げ出さないで最後までやり遂げる
多動性(2) 仕事を先延ばしにして溜め込む 月単位、週単位、1日単位で予定を考える
同時に色々やろうとして終わらない 優先順位を考え、優先順位の高いものから処理していく
飽きっぽく仕事中でも他のことが気になる 短時間でいいから集中する。疲れてきたら休憩する
興味関心がある、面白い、やりやすい仕事を先にやってしまう やりやすい仕事ではなく優先順位を考え、優先順位の高いものから処理していく

私が利用した就労移行支援事業所で徹底的に自己分析し、安定就労に向けて自分の特性を知り、必要なスキルを徹底して訓練し、その結果今の特例子会社に就労する事ができました。

発達障害があってトラブルを起こして離職してしまっている人は働いている時の嫌な経験がトラウマになって働くのが怖くなって家の外に出られないっていう人もいます。

就労移行支援事業所に通う事は、会社に通うという事を習慣化するための訓練にもなりますし、自己分析をする時間もたっぷり与えてくれます。面接練習もありますし、面接の場に職員が同行もしてくれます。メリットがたくさんあります。

実習のある企業を選ぶ

もし、あなたが障害者雇用での就労を望むのであれば、実習がある企業を選ぶことをおすすめします。実習の機関は1~2週間程行われます。

面接では面接官の話を聴くだけで具体的にイメージできないものですが、実際にどのような業務を行うのか、職場にはどんな人がいるのか。職場体験を通じて肌で感じ取ることができます。

まとめ

私は46歳の時に発達障害ADHDと診断されました。それまで職を転々としたクズでどうしようもない職業人生でしたが、障害者雇用の特例子会社に就職して、今年の4月で7年目を迎えます。

おかげ様で職場に定着して安定的に日々の仕事をする事が出来ています。

大人の発達障害のある人が仕事を安定的に続けるのは容易な事ではありません。自分は何ができるのだろうか、何が得意なのだろうかと徹底的に自己分析をして、就職活動に望むようにしてほしいです。

自分の特性をきちんと理解し、それを仕事で上手に活かせるのでしたら、一般企業のクローズ就労もしくはオープン就労でも全然いいと思うし、特性がきつく努力をしても無意識に仕事に支障をきたす恐れがある人は私のように十分に配慮された雇用形態や企業を選ぶべきです。

自分の特性に合わない仕事や会社を選んでしまうと安定した勤務どころか、すぐに離職してしまう事にもなりかねないです。

自己分析をしたうえでどんな仕事が向いているのか、どのような雇用形態なら自分が安心して働けるのかよく考えて頂きたいです。

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