自閉症スペクトラム障害の診断基準 大人の発達障害の生きづらさ

自閉症スペクトラム障害
自閉症スペクトラム障害の診断基準

なかなか正しい理解が広まらない発達障害 対人関係が苦手な人に「あの人はアスペだ」と決めつける

自閉症スペクトラム障害の診断基準 大人の発達障害の生きづらさ

僕は2014年7月に発達障害と診断されました。

発達障害は以下の通りに分類されます。

  • 注意欠如・多動性障害(ADHD)
  • 自閉症スペクトラム障害(広範性発達障害)(PDD)
  • 学習障害(LD)

あまりこのブログには書いていいないけど僕はADHD(注意欠如多動性障害)の他に広範性発達障害の診断もされています。ADHDだけかと思っていたけどまさか広範性発達障害もあるなんて思いもしなかった。

広範性発達障害とは自閉症スペクトラム障害の事です。

精神疾患の診断基準である『DSM』では、自閉症障害、アスペルガー障害(高機能自閉症)、レット症候群、小児期崩壊性障害、特定不能の広汎性発達障害を広範性発達障害発達障害と分類していましたが、2013年に改訂された『DSM-5』ではこの分類がなくなり、レット症候群を除いて自閉症スペクトラム障害に統合されました。

自分が発達障害と診断されてから発達障害の事をもっと深く理解しようと思いました。本もたくさん読みましたし、発達障害当事者が赤裸々に自分自身の事を書いているブログサイトもよく読んでいます。

最近は発達障害が広く知られるようになり、世間に浸透してきました。

しかし、マスコミやメディア、ネットで取り上げられる頻度が増えるに従って発達障害に対する誤解といいますか、誤った理解をしてしまう人が増えているような気がします。

特に自閉症スペクトラム障害に誤解が多いです。

例えば、一人でいるのが好きで人と会話したり、対人関係が苦手な人を「アスペ」だと決めつけたりする。このような風潮は僕のような当事者として許せません。

あの人、空気が読めない事ばっかり言ってもしかしてアスペじゃないの?

自閉症スペクトラム障害の診断基準

俺って発達障害なのかもしれない。精神科に行って自分が発達障害なのかどうか診てもらおうかな。

「空気が読めない」「人の気持ちが分からない」というのはどんな人にもあると思う。上の会話のように決めつけるのは良くないと思います。

健常者でも対人関係が苦手な人は多いと思います。しかし、ネットやメディアの情報を鵜呑みにして「人と上手く付き合う事は出来ないのは自分がアスペルガー症候群に違いない」と病院に駆け込む人が増えているそうです。

でも、ただ人付き合いが苦手なだけではアスペルガー症候群でも自閉症スペクトラム障害でもありません。病院に行く前にもっと正しい知識を勉強してほしいですね。

では、どのような状態が自閉症スペクトラム障害なのか?

自閉症スペクトラム障害の診断基準

『DSM』では自閉症スペクトラム障害の診断基準を次のように定めています。

DSM-5によるASDの診断基準

以下のA,B,C,Dを満たしている事

A.社会的コミュニケーション及び相互関係における持続的障害

  1. 社会的・情緒的な相互関係の障害
  2. 他者との交流に用いられる非言語的コミュニケーションの障害
  3. 年齢相応の対人関係性の発達や維持の障害

B.限定された反復する様式の行動、趣味、活動(以下の2点以上の特徴で示される)

  1. 常道的で反復的な運動動作や物体の使用、あるいは話し方
  2. 同一性へのこだわり、日常動作への融通の効かない執着、言語・非言語上の儀式的な行動パターン
  3. 集中度・焦点づけが異常に高くて限定的であり、固定された興味がある
  4. 感覚入力に対する敏感性あるいは鈍感性、あるいは感覚に対する普通以上の関心

C.症状は発達早期の段階で必ず出現するが、後になって明らかになるものもある。

D.症状は社会や職業その他の重要な機能に重大な障害を引き起こしている。

この判断基準を見てもお分かりの通り、「人と会話するのが苦手」「一人でいるのが好きだ」というだけでは自閉症スペクトラム障害とは診断されません。

「コミュニケーションの障害」「こだわりの強さ」などが複合的に重なり合って、日常生活や職業生活に重大な支障をきたすようになって初めて自閉症スペクトラム障害と診断されるのです。

自閉症スペクトラムの特徴

この記事では発達障害の中でも特に誤解の多い「自閉症スペクトラム」について書いてみたいと思います。

僕の周りには自閉症スペクトラム障害と思わしき人がいます。まず自分の父親です。そして今勤めている特例子会社にもそのような人がいます。

オヤジにしてもその職場の人も一般的に言われている自閉症スペクトラム障害の特徴とほぼ一致します。

僕は直接自閉症スペクトラムと思われる人と接する機会が多いので自閉症スペクトラムはどのような症状なのか目の当たりにしてよくわかります。

そして何よりも僕自身が自閉症スペクトラム障害だからです。

(幼いころは自閉症スペクトラム障害の症状が顕著でしたが、今では随分と軽くなりほとんどなくなりました。代わりにADHDの不注意や衝動性の症状が出ましたがストラテラによる投薬治療でそれも軽くなりました。

自閉症スペクトラム障害の特徴をまとめてみました。(上のDSN-5の診断基準では抽象的過ぎて分かりにくいので具体例を書きました。)

言葉で言われてもなかなか理解できない

自閉スペクトラム障害があると他の人が言っている事がなかなか頭で理解できません。仕事なんかだと先輩や上司が新しい作業を口頭で説明するんですが、これがなかなか覚えられない。

教える方も「今教えたのに何で出来ないんだよ」とだんだんイライラしてきます。こっちは「うわ~怒っている」と思うからパニックになります。

車の免許を取るために教習所に通って車の運転操作がなかなか身につかなかったし、バイトでコンビニのレジなんかをやったことがありレジの機械の操作がまるで覚えられませんでした。

言葉の意味が頭でイメージできないのか、記憶が定着しないのか。自分はバカなんだと思っていました。

自閉症スペクトラム障害のある人は言葉などで耳から入る情報よりも字やイラスト、映像など目から入る情報の方が理解しやすい傾向があります。

仕事や家庭内で自閉症スペクトラム障害のある人に何か頼み事をするときは手順や方法を口頭よりも紙に書いて示した方がいいでしょう。

行動や動作、嗜好に強いこだわりがある

自閉症スペクトラム障害があると、興味や行動の範囲がものすごく狭いです。特定の物事に執着し、行動や手順にこだわります。

僕は幼いころは新幹線が通る高架の近くに住んでいてその影響で電車が好きでした。家の中に閉じこもっていて電車の絵ばかり描いていました。友達を作って遊ぶよりも一人で電車の絵を描くのが好きでした。

特に小学校時代は一人で浮いていて激しいいじめにも会いました。

これも自閉症スペクトラム障害の「こだわり」の症状かもしれません。

今勤めている特例子会社にもそういう人がいます。

いろいろな業務があり、その業務をこなすには「作業」をしなければなりません。その作業にはマニュアルがあるます。そのマニュアルに異常なほどこだわる人がいます。

その人がリーダーでその人の下について仕事をするとそれこそ大変です。やりにくくて仕方がありません。

自閉症スペクトラム障害の診断基準

何でマニュアルに書かれている通りにやらないんですか?

やり直してください。

こんな風に怒られてしまうので、その人の機嫌を損ねないようにきちっとマニュアル通りに仕事をしなければなりません。

でもなんの仕事でもそうですが、仕事というものは常に状況が変化します。その場その場で臨機応変な対応をしなければならない場面もあります。

そんな時にマニュアル通りにしなければならないという人は融通が利かない頑固な人です。何よりも理屈が優先するのです。

自分以外の事には全く無関心

他の精神疾患(統合失調症や対人恐怖症)の場合でも他者との関係が希薄になり「引きこもり」「自閉」の症状になる事もあるそうですが、これは人と接する事への恐怖心や不安からくるものです。

これに対して自閉症スペクトラムのある人は自分以外の人に関心自体がありません。

僕の父親は家族の中でも孤独で話をしようとせず、息子である僕に対して全く無関心です。私が幼いころから、父親に気にかけてもらったという記憶が全くありません。全部母親にまかっせっきり。話しかけられたという記憶もわずかしかありません。

このように自閉症スペクトラムのある人は家族でさえも関心が薄いのです。

会話が成り立たない

自閉症スペクトラムの人と会話すると会話が成り立ちません。 そして、父親の趣味は盆栽なんですが、誰も聞いていないのの自分の趣味の話を延々と話し、会話が一方通行で話のキャッチボールが出来ません。

普段は全く言葉を発しないのに、盆栽の話になると夢中になって、得意になって話します。

父親は家の前に盆栽を飾っていますが、通りすがりの郵便配達員などが、盆栽をいじっているおやじに「盆栽いいですね」等と声をかけると得意になって盆栽の話を一方的に話し続けます。相手はただ聞くだけで、会話が成立していません。まるで演説です。

息子としては父親と普通に会話がしたかったのに、成長するにしたがって「会話が出来ない人なんだな」とあきらめました。

今勤めている職場にもそういう人がいます。職場の仲間数人と会話している時に突然その人が会話の中に入り込み何の脈絡もなく自分の趣味の話を語りだします。一方的です。みんな聞いているだけで早くその話が終わらないかなと思っています。だからその人には誰も話しかけません。

他の人の気持ちを汲み取ることが出来ない

自閉症スペクトラムのある人は自己本位で自分以外の人の気持ちを想像する事が出来ません。

知り合いで旦那さんが自閉症スペクトラム障害の診断を受けた人がいます。その旦那さんは家族の事はさておいて朝早くから趣味に出かけて行ってしまうそうです。家族としては家事もしてほしいし、子供の面倒も見てもらいたい。それなのにそんな家族の気持ちなどお構いなしで自分の趣味を優先してしまうのです。

その方は子供の成長や家庭内で起こった困りごとなどを旦那さんにも意識を共有してもらいたいのに我関せずといった形で全く関心を示さないというのです。

空気を読むのが苦手

自閉症スペクトラム障害のある人はその場の空気を読むのが苦手です。

日常生活で状況は刻一刻と変化します。家庭では子供の成長であったり毎日の生活費であったり。職場でも同じです。自閉症スペクトラム障害のある人はその変化を読み取る事が苦手です。そのため何か状況が変わったとき、その変化についていけずパニックになったりします。

何を考えているのか分からない

自閉症スペクトラム障害がある人は自分の気持ちや要求をなかなか人にうまく伝える事が出来ません。だから何を考えているのか分かりません。

私の父親は普段は全くの無口です。私が家に帰ってきても「お帰りなさい」等という言葉は一切いいません。挨拶もありません。

そして、食事は家族3人(私、母親、父親)の3人で取りますが、私と母親はテレビの話題など会話が弾むのですが、父親一切会話に加わらず、言葉を発しません。ただ黙っているだけです。そして吃音症です。つまり何か言葉を発するときどもってしまいます。言葉がスムーズに出てこないのです。言葉を発するとどもってしまうし、自分で自分が何を言っているのか分からなくなってしまうらしく、何か言いかけたと思ったら突然黙ってしまう。

うちのおやじは、家族とさえも「おはよう」といった挨拶ができず、電話もかけれらません。

本人にとってはうまくしゃべろうと思ってもうまくしゃべれませんのでとても恥ずかしい事だと思ってしゃべらないで黙っているのではないでしょうか。本人にとっては辛い事なんでしょうが、ただ黙っているだけで、本人の意思が全然伝わってこないので、家族としてはとても困ってしまいます。

他の人の目を気にしない

うちのおやじは毎日、同じ服を着ようとします。

普通の人は、その日の気分によって服を変えます。特に外出しようとするときは、人目を気にして、昨日着た服とは違う服をきますよね。それが、うちのおやじは人目には全く無頓着で、人の目の事など全くお構いなしで、毎日毎日同じ服を着ようとします。

毎日同じ服を着ようとするのは、その服がオヤジにとって「着心地がいい」のかもしれません。他の服は肌触りが悪かったりして着れないのかもしれません。それはオヤジにしか分からない事です。

僕を含めた周りの人はそれが分からないから「人の目を気にしない」という様に感じるかもしれません。

自閉症スペクトラム障害のある人の中には「視覚」「嗅覚」「聴覚」「触覚」での感覚過敏がある人が少なからずいます。光を眩しく感じたり、音をやけに大きく感じたり、周りの物音を全て同じように感じたり。何かが皮膚に触れると不快に感じたり。

オヤジはもしかしたら「触覚」が感覚過敏なのかもしれません。

まとめ

自閉症スペクトラム障害のある人は苦しい思いをしていると思います。しかし、上手く自分自身を表現できないため周りの人がその人の苦しみをなかなか理解してあげることができません。

そのためには周りの人が自閉症スペクトラム障害の事を理解して支援しなければなりません。

僕は幼いころは自閉症スペクトラム障害の症状が顕著で「ちょっと変わった子」として激しくイジメられましたし、社会人になってからはADHDの不注意や衝動性の症状も加わって職を転々とし離婚も経験するなど苦しい思いをしてきました。

大人になってから本当に生きづらいと感じてきました。

時代は変わり平成から令和になりました。平成は自分の発達障害のおかげで最低の時代でした。

時代も変わりこれからは遠回りしてきた自分の人生を少しでも取り戻したいと思っていますが、皆様はいかがでしょうか?

このサイトで少しでも発達障害のある人の苦しみを分かっていただけると幸いです。

参考サイト

自閉症、アスペルガー症候群 - オーソモレキュラー栄養医学研究所
オーソモレキュラー療法の自閉症、アスペルガー症候群治療へのアプローチでは、まず詳細な血液検査を行います。そして
  • 前へ
  • 1
  • 2
  • 次へ

コメント

タイトルとURLをコピーしました