働きながら障害年金を受給するためのたった一つの方法
結論 働いていたら障害年金の支給が認められない事はありません
働きながら障害年金を受給するためのたった一つの方法
働いていたら、障害年金を受給する事は出来るのでしょうか?働いていたら障害年金を受給できるのかと諦めたり、不安になっている方も多いかと思います。
その答えはズバリ「受給できる」です。ただし、かなりの困難と忍耐が必要です。受給できる可能性があるといったほうがいいかもしれません。
私は現在、障害者雇用の一形態である特例子会社で正社員として勤務していますが、苦労の末、今年の10月に障害年金3級を受給できることになりました。今回が2度目の障害年金申請です。
この記事では、働いている私がどのようにして障害年金を受給出来るようになったのか書いてみたいと思います。
発達障害や精神疾患がある方で、現在、休職中で就労を希望されていて、働き始めたら障害年金を貰えなくなると思っている方、働いていても障害者雇用で給与が低くてどうしようもないよって方、私の記事が参考になったら幸いです。
働きながら障害年金受給までのプロセス
私が障害年金の受給に至った経緯を書いていきます。
私は自分が発達障害であるとも知らず、大学を卒業して就職しましたがどんな仕事をしてもうまくいかず、転退職、解雇を繰り返してきました。45歳の時、2年間勤めた紙類の倉庫のフォークリフトオペレーターをクビになり、その後も同じな職種の会社に採用されましたが、ミスを連発して試用期間経過後にクビになりました。
その結果、どんな仕事をしても短期間でクビになるのは、自分は何か病気なのではないかと思いはじめ、いろいろなサイトや本を調べていくうちに自分は発達障害なのではないかと思う様になり、心療内科を受診してADHDと広範性発達障害と診断されました。
その後,就労移行支援事業所で1年8ヶ月職業訓練を受け、2017年に特例子会社に就職しました。
就労してから驚いたのが給与の低さです。入社当時手取りで11万5000円でした。障害者雇用は障害者に対して合理的なな配慮を受けられる保護的な職場環境ですが、いくら障害者雇用だといっても安すぎるでしょう。これでとうやって生活しろというんですか?
障害年金受給への知識を勉強する
そんな折、病気やけがによって生活や仕事が制限されるようになった時に現役世代の人が受けられる障害年金という制度がある事を知りました。
調べてみると障害年金は「障害基礎年金l「障害厚生年金」の二つがあり、病気やケガで初めて医師の診察を受けたときに国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」を請求する事が出来ると分かりました。
障害基礎年金1級なら年額972,250円、2級なら年額777,800円、障害厚生年金なら最低でも年額584,500円支給されるということで、障害年金が支給することが出来たら、生活が随分と楽になるなーと思いました。
参考サイト 日本年金機構 障害等級表
日本年金機構の障害等級表には以下の一文が。
障害の程度3級(厚生年金保険のみ)
精神又は神経系統に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
私が働いている特例子会社は、障害のある方の安定的な雇用を図るために設立された会社です。一般企業に比べるとサポート体制が整い、障害のある方への合理的配慮が受けられます。
特例子会社で働いているという事は「精神又は神経系統に、労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの」に該当するかも。もしかしたら障害年金3級が受給できるかもしれないと考えました。
主治医に今の自分のありのままの症状を伝える
もし、あなたが発達障害あるいは精神疾患かもしれないと思ったら、心療内科か精神科で診察を受けることになります。いろいろな検査を経て診断されます。もし、発達障害あるいは精神疾患と診断されて障害年金の申請を希望するなら、主治医に診断書を書いてもらう事になります。
しかし、主治医は医療の専門家であって障害年金のプロではありません。障害年金を受給するための「障害認定基準」を知らない医師も多いのです。そのような医師は診断書をどのように書けば申請が通るのか分かりません。
調子はいかがですか?
何とかやれています(本当は日常生活も仕事もすごく大変なのに)
そうですか。大丈夫そうですね
上のイラストの会話は主治医と患者の会話の場面ですが、主治医の「最近どうですか」という問いに対して患者さんは「何とかやれています」と答えてしまっています。
患者さんの方がこのように答えてしまうと、主治医の方は「たいしたことはないんだな」と判断してしまいます。診断書に患者さん本来の状態よりも軽く書かれてしまいます。
障害の状況を正しく反映した診断書を作成して頂くためにも、主治医には遠慮せずに自分が日常生活で困っている事をしっかりと伝える必要があります。
審査に通るような診断書を主治医に書いてもらう
障害年金の申請に欠かせない診断書に「日常生活の判定」という項目があり、適切な食事、身辺の清潔保持、金銭管理と買い物、通院と服薬、他人との意思伝達および対人関係、身辺の安全保持及び危機対応、社会性というさらに細かい項目があり、各項目それぞれに、下のように判定基準があります。
- できる
- 自発的に出来るが時には助言や指導を必要とする
- 自発的かつ適正に行うことはできないが助言や指導があればできる
- 助言や指導をしてもできないもしくは行わない
最初の申請の時は主治医の判断の元、1~4のどれに該当するかを記入するのですが、主治医はほとんどの項目で1の「できる」か、2の「自発的にできるが時には助言を必要とする」と判断されました。
更に「日常生活能力の程度」という項目があり、以下ののような選択肢があります。
- 精神疾患を認めるが、社会生活は普通にできる
- 精神疾患を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には、援助が必要である。
- 精神疾患を認め、疾患を認め、家庭内での単純な日常生活は出来るが、時に応じて援助が必要である
- 精神疾患を認め、日常生活における身の回りの事も、多くの援助が必要である
- 精神疾患を認め、身の回りのこともほとんどできないため、常時の援助が必要である
この項目では、私は2と判断されました。診断書に必要以上に私の症状を軽く書かれてしまったのです。
このように症状を軽く書けば申請が通らない事くらい心療内科の先生ならわかっていると思ったのですが・・・がっかりしました。
最初の申請の時、主治医に対して、本当は困っているのに、自分の事を良く見せようと思って「仕事も日常生活も問題ないですよ」と行ってしまったのがまずかったのかなと今となっては思います。結局、最初の申請は失敗に終わりました。
障害年金の判定基準
日常生活能力の判定(①適切な食事、②身辺の清潔保持、③金銭管理と買い物、④通院と服薬、⑤他人との意思伝達、⑥身辺の安全保及び危機対応,⑦社会性の7つの項目で、その評価を点数に置き換えます。
- できる→1点
- おおむねできるが時には助言や指導を必要とする→2点
- 助言や指導があればできる→3点
- 助言や指導をしてもできないもしくは行わない→4点
この7つの項目の合計点を7で割った数字を「判定平均」とします。次に「日常生活能力の程度」の5段階の評価を組み合わせ、どの等級に該当するかの目安が下の表です。
「判定平均」が2.0以上、「日常生活能力の程度」が3以上なら障害年金は間違いなく受給できるようです。
障害年金に強い社会保険労務士さんを探す
障害年金の自力申請は難しい
働きながら障害年金を受給できる可能性があると分かったら、障害年金受給申請の準備をさっそく始めました。
ところが、年金事務所に障害年金受給の申請を行うには、主治医の診断書や病歴・就労等申立書などの書類を揃えなければならず、病歴・就労等申立書は何をどう書けばいいのか分からず、自分の力だけで申請するのは難しいため社労士さんに依頼する事にしました。
障害年金の事を良く知らない、あまり得意ではないという社労士さんは多い
社労士さんの中には障害年金の事をあまり得意でない、あるいは知らないとう方もいるようです。
働いていたら障害年金は受給できませんよ
上の会話のイラストのように「働いています」と答えたら「障害年金はもらえませんよ」と即答する社労士さんは多いです。私もインターネットで調べた社労士さんに何件も電話したのですが、どれもこんな感じでした。
ある日、知り合いから障害年金の申請に関してものすごく実績を上げていて信頼できる社労士がいるので依頼してみたらどうかと。早速、その社労士さんの事務所に伺い、私の生い立ちや今、日常生活や社会生活で困っている事をお伝え依頼することにしました。
その社労士さんのアドバイスで、障害年金の申請に強い心療内科があるので、転院してみたらどうかと言われ、都内の心療内科に転院し、申請が通る診断書を作成して頂きました。
病歴等就労状況等申立書を詳しく書く
病歴・就労状況等申立書は障害年金の申請の際に必要な書類です。
自分で書くのが原則ですが、依頼した社労士さんに代筆を依頼しました。その結果、A4用紙14ページにわたるとても詳細な病歴・就労等申立書ができました。
私が、出生・幼少期からの生い立ち、学生時代、社会人になってからと発達障害の特性によってどんな困難に満ちた人生を歩んできたか、現在勤めている会社からいかに合理的配慮を受けているかを詳細に記載しています。
職場において障害特性が十分に配慮されている環境である事をアピールする
勤務先の職場の意見書を書いてもらう
あなたが障害に対して保護的で十分な合理的配慮を受けられる環境で就労している事を証明できれば、働きながらでも障害年金を受給できる可能性が高まります。
あなたが職場で障害に対して十分な合理的配慮を受けているかを年金申請を審査する日本年金機構にアピールするために、あなたの勤務先に「職場の意見書」を書いてもらうと良いでしょう。
「私は今、障害年金を受給するための手続きを進めています。私がこの職場で十分な合理的配慮を受けている事を証明したいと思います」と勤務先の会社に協力を仰ぐのも有効な手段だと思います。あなたが障害者雇用でオープン就労(自分の障害を開示する)している場合は、勤務先の上司はきっと理解してくれるでしょう。
参考なまでに、私が勤務先の会社に書いて頂いた「職場の意見書」の抜粋をご紹介します。
弊社従業員 ○○さんの就労状況
現在の業務内容
- PC入力業務
- 軽作業
- 書類仕分け作業
- 郵便・宅配便仕分け作業
支援・サポート状況
- 支援員は各業務に2~3名配置
- 業務についての相談は各業務の支援員に行い、職業生活全般は合理的配慮相談窓口担当が行う
- 弊社は特例子会社であり、支援がなされている
○○さんの職場での様子
- ADHDの障害特性により抜け漏れが多い
- 業務手順の理解は出来ているが、抜け・漏れが生じてしまう
- 所持品を紛失してしまう
- 道具を紛失してしまう
- 道具を使ったままにしてしまう
上記の通り○○さんは就労において様々な配慮が必要であり、職場において援助や支援、見守りを行っております。
年金申請が通った!
転院した心療内科で作成して頂いた診断書、依頼した社労士さんに詳細に書いて頂いた病歴等就労状況等申立書、私の職場に書いて頂いた「職場の意見書」をセットにして年金機構に障害年金申請したところ、3ヶ月待たされましたが、申請が認められ、この12月より、働きながら障害年金を受給できることになりました。
受給が出来たのはとても嬉しいです。苦労した甲斐があるました。
まとめ
障害年金を受給できるか否かは障害年金の記載内容で変わってきます。軽く書かれることのないように、困っている事、苦しんでいる事を正直に主治医の先生に話しましょう。
働きながら障害年金を受給するのは難易度が高いですが、とにかく自分は障害によっていかに日常生活や社会生活に困難を抱えているか、職場においては十分な合理的配慮を得られた環境で就労しているという事を病歴・就労等申立書でアピールするようにしましょう。
働きながら障害年金。自力でも障害年金を申請する事は出来ますが、その道のプロである社労士さんに依頼すると受給できる可能性がぐっと高まりますよ。
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