ボーっと生きているわけじゃねえよ! ADHD当事者の困りごとと脳の関係
ボーっと生きているわけじゃねえよ! ADHD当事者の困りごと
発達障害ADHDである僕は発達障害の事を少しでも知ってもらいたいと思ってこのブログを書いています。
ADHDがあると、困りごとが多くて困ります。
この記事ではADHDについて僕のような当事者の事がどんなことに苦しんでいるのか、その原因は何なのか。またその苦しみを少しでも軽減する方法は果たしてあるのかなど書いていきたいと思います。
なぜ男性は年を取るとオヤジギャグを言ってしまうようになるのか
いきなりですが、NHKの人気番組「チコちゃんに叱られる」を見ていたらこんな質問がありました。

なんで男性は年を取ってくるとオヤジギャグを言うようになるのかな

なんでだろう よくわからないな
脳のブレーキが利かなくなっているから
チコちゃんの画像の出典

この問題の答えは「人間は年を取ってくると理性が働きにくくなって脳のブレーキが利かなくなって暴走してしまう」です。
若い人はオヤジギャグなんてあんまり言いませんよね。なぜなら恥ずかしいからです。
若い人は理性が働いていますが、年を取ってくると脳のブレーキが利かなくなってくるんですって。だからオジサンたちは「今年の残暑はすごいざんしょ」「離島の議員が離党した」「このステーキは見た目が素敵ですね」「白菜食べたら歯、臭い」なんて聞いている方が恥ずかしくなるようなオヤジギャグをオジサン達はよく言っています。
「脳のブレーキ」が利かなくなっているから」とはどういう事なんでしょうか?
ADHDと一見関係がないかもしれませんが大いに関係があるのです。どのような関係性があるのかおいおい書いていきたいと思います。
ADHDのある人の困りごと
まずは、僕のようなADHD当事者が実際にどのような事で困っているのかを書きたいと思います。
- 注意散漫 集中できない
- 物事の優先順位がつけられない
- 人の話が聞けない 先走る
- 先延ばしにする
- 失くしものや忘れ物が異様に多い
- 飽きっぽい
- 欲望や感情のコントロールが利かない
- 失業や離婚が多い
ADHDがあると自分の注意力をコントロールする事ができません。仕事でも学校の勉強でも、今やらなければならない事をやっている最中でも集中力が途切れてしまいます。
たとえば、学校の授業では、先生の講義を聞いている時も意識が飛んだり何か別な事を考えてしまったりするので先生の話が頭に入ってきません。その結果学業成績が伸び悩んだりします。
社会人になって会社で仕事をするようになっても同じです。仕事の最中でも仕事とは全く関係ない事を考えてしまったり意識が飛んだりしてしまうのです。
このように仕事に全く集中できないので普通の人では考えられないようなミスをしてしまい職場の人たちから「あいつはダメな奴だ」という不名誉なレッテルをつけられてしまいます。
僕もこのパターンですぐに会社を首になったりして職を転々としていました。
ADHDのある人はいわゆるマルチタスクが苦手です。
多くの人は社会人になって痛感すると思いますが、学生のうちなら勉強に専念していればいいのですが社会に出たとたんそうはいかなくなります。一人でいろいろな業務をこなさなければなりません。
普通の人なら、やらなければならない作業がたくさんあるときは、今やっている作業をやりつつも、次の作業の段取りまで頭の中で素早く考えて次の段階に進むことが出来ます。
しかし、ADHDのある人はたくさんの仕事を抱えていたとしても今やっている作業をこなすのに精いっぱいで次の作業の事など忘れてしまいます。
また今やらなければならない最優先の作業や仕事があるにもかかわらず自分の好きな仕事、得意な仕事からやり始めて上司から「あの仕事は終わったのか」なんて言われて慌てて最優先の仕事に取り掛かります。そのため納期に間に合わずどれもこれも中途半端になってしまいます。
僕なんかもそうですが、やることが多いとパニックになりますよ。
ADHDのある人の中には、人の話を最後まで聞かずに相手の言葉をさえぎって自分の話したい事を話始める人がいます。
よほど自己顕示欲が強いのでしょうか。相手が話している最中でも思いついたことをすぐに言ってしまい、相手の話を注意深く聞いて理解し共感したり質問する事が苦手です。
このような特性は仕事の場面でもよくみられます。
仕事の現場で上司や先輩の指示や説明をよく聞かずに自分勝手に作業を進めてしまいます。これが合っているのなら特に問題はありませんが、やり方が間違えたりする事が良くあります。その結果取り返しのつかないミスにつながります。
僕もこれはよくやってしまいます。僕の中ではこれを「先走り」と呼んでいて、意識して注意するようにしています。
ADHDがあると大事な仕事ややらなければならない事をつい後回しにしてしまう傾向があります。
家事なんかでも手のかかる掃除はやらなくちゃと思いつつ何か面白いテレビ番組をみてしまいいつまでもダラダラと時間を過ごしてしまい掃除に取り掛かれません。
職場での仕事でもいつまでも取り掛かることが出来ずに納期を守れないので周りの人からの信頼を失います。

ADHDがあると忘れ物が多かったり、大事な物をなくしてしまう事がよくあると思います。
僕なんかも、朝出勤する時に財布を家に忘れてきて最寄りの駅で電車に乗るときに初めて財布を忘れているのに気づいたりすることが良くあります。携帯電話もよくなくします。
僕の今までの一番ひどい忘れ物は建築資材の営業をしていた時、集金のためある会社を訪れて小切手をもらい別の得意先に行った後に「これから会社に戻ります」と公衆電話で連絡したのはいいけどもらった小切手が入ったカバンを電話ボックスに置き忘れてしまったことがありました。金額は100万円です。
なんでこんなに忘れ物が多いのか。
ADHDがあると変化や刺激に乏しい作業にすぐに飽きてしまいます。僕は正社員の仕事を転々としていて就職する合間に日払いのバイトを数多くやってきましたが、どれもこれも単純な物ばかり、すぐに集中力が切れてしまいます。
僕が経験した日雇いバイトは物流倉庫でベルトコンベアーに流れてくる品物のバーコードを機械でひたすらに読み取っていくとかトラックから荷物を降ろしてひたすらパレットに積んでいくものとかです。とにかく頭脳を使う事がなく機械的にこなしていくだけだからすぐに飽きてきて集中力が切れてきます。
集中力が切れてくるとそわそわしてきて仕事に関係のない事を考えたりしてきます。また眠くなったりします。
単純な仕事をしていると飽きてくるというのはどんな方でもあると思うのですがADHDがあるとその傾向は顕著になると思います。
ADHDがあると些細な事でも我慢ができず怒りっぽくなったりします。我慢が出来ない事は本当にちょっとしたことです。また自分の欲求をコントロールする事が苦手です。
ADHDの当事者ではる僕の場合ですが、何事もコツコツやるのが苦手です。お金を貯めようと思っているのですが、普通の人ならなるべくお金を使わないように計画的に節約しますが、僕の場合、すぐにお金を得ようとしてパチンコなどのギャンブルにはまってしまっって一時期、200万円近い借金を作ってしまったことがあります。
また最近では、株式投資をしていますが、銘柄についてろくに勉強もせず、ニュースなどで「この銘柄がいい」等と報じられたものに飛びついて投資してしまい、値下がりして大きな損失を出してしまいます。見通しが甘いんでしょうね。
僕に限らずADHDのある人は、「わかっているけどやめられない」という感じで手持ちのお金の事を考えずに衝動買いしてしまったり、ギャンブルや酒、インターネット、ゲーム等にはまりやすいです。いわゆる○○依存症です。
ADHDである僕は10回以上も転職しています。その原因は、会社での人間関係がうまくいかなかったり仕事でミスばかりして「この仕事、自分には向いてないや」と判断して自分から衝動的にやめてしまうか、「これ以上雇うと会社に重大な影響を及ぼす」と判断され解雇されてしまうのです。
また離婚も経験しています。相手は生活態度が極端にだらしなく仕事もうまくいかず転職ばかりしている僕に嫌気がさしたのです。
結婚生活で相手の些細な事に怒ってキレたり、相手から頼まれた事を忘れてしまったり、仕事で失敗して会社を首になったり・・・そんな事が続けばパートナーは嫌になり信頼できなくなります。その積み重ねの結果が「離婚」という最悪の選択肢に行きついてしまいます
ADHDのある人は「ボーっと生きている」わけではない
ADHDのある人は相手の話をじっくりと聞くことが出来ない、些細な事でカッとなる、暴言や暴力、仕事をしてはミスばかりで上司からいつも怒られる、家族からも相手にされなくなる・・・
このような生活や仕事で困るよう様な言動を無意識のうちにしてしまうのです。
周囲の人はそんなADHDのある人にチコちゃんのようにこういう風に叫びたくなるかもしれません。

ボーっと生きているわけじゃねえよ!
チコちゃんの画像の出典 https://plaza.rakuten.co.jp/hirokun2010/diary/201807050000/
ADHDの原因 脳の問題
「脳のブレーキ」が利かない
ちょっと前置きが長くなりましたがここからが本題です。
先ほど紹介した「どうして大人になるとオヤジギャグをいうようになるの?」というチコちゃんの質問の答えが「脳のブレーキが利かなくなる」という事なんですが、これは人間が年を取ってくると前頭葉という脳の部位の働きが弱くなるからなんです。
画像の出典
前頭葉は人間が人間らしく生きていく上で欠かせない重要な脳の部位で注意、長期記憶、計画や意欲、思考、自発性(やる気)、感情、性格、理性などを司っています。
前頭葉は生まれてから25歳前後まで成長を続けますが、それ以上の年齢になると成長が止まり40歳を過ぎるころからその機能が衰えていきます。衰えてくる原因として、加齢による脳への血流量の低下と脳細胞の萎縮が考えられます。
前頭葉には目から入ってくる視覚情報、耳から入ってくる聴覚情報、臭いなどの嗅覚情報を整理・認識し、過去の経験とすり合わせて状況や場面に応じて適切な行動を示したり、目的に合わせて行動計画を立てたり、手順を決めたり、段取りを考えたりします。また自分の注意力や集中力、感情をコントロールする働きがあります。これを実行機能といいます。
前頭葉の働きが弱くなるとどうなってしまうのか?
なにをするにも行動計画が立てられなくなり、その場その場の適切な行動ができなくなってしまいます。注意力が無くなり、行き当たりばったりで衝動的に行動してしまいます。まさにADHDのような症状ですね。
チコちゃんの話に戻りますが、若いうちは恥ずかしいのでおやじギャグなんて言いませんが、大人になっておやじギャグを言う様になるというのは、加齢による前頭葉の衰えによってその場その場の状況に合わせて適切な行動を取ることができなくなった表れかもしれません。
でもオヤジギャグを言うくらいなら別に生活に支障がでるわけではないです。ADHDのある人の生きづらさに比べれば・・・
ADHDの困りごと 先天的な前頭葉の機能障害
ADHDは先天的(生まれつき)の脳の特定部位の機能障害が原因の一つとされています。前頭葉に流れ込む血流量が普通の人よりも少なかったり、前頭葉の中にある脳細胞どおしの連絡を助ける神経伝達物質の働きが悪い事もわかっています。
したがって、ADHDのある人は他の人からみればその場その場に応じた適切な行動が取れなかったり、何をしても注意が足りなくてミスばかりしてしまったり、理性がなく好きな事ばかりやっているので「ぼーっと生きている」と思われがちですが、決してボーっと生きているわけではありません。
ADHDという障害がそうさせているのです。その点を本人のみらなず周囲の人も理解してほしいのです。

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